趣味で写真を撮っていたころは、とにかくカメラを持ち歩いて日常的にたくさん写真を撮った。
カメラはライカかマキナ67。なるべく人間を入れるか、人を感じさせる空間を撮影した。日常がすべて記録する価値のあるものだと信じて疑わなかった当時の自分。
価値観は変わっていないけれど、現実は変化した。
仕事で撮影するのは180度志向が異なるし、ファインダーを覗く視点も変化し、昨年から意識して人間を入れずに写真を撮るようになった。
小さい頃から絵を描くのが好きで、風景写真を描くときにも必ず人間を写り込ませてきた。
写真は他者の刹那を封じ込める道具。絵の代替作業だったはずが、根本的に変化してきたのが自分では興味深い。
もちろん、人間に興味をなくしたのではなくて。
人が好きだから人(生物)を撮るのが一番面白いし、集中できる。
これを仕事にできていることは本当に幸運だと思う。
カメラを手に町を徘徊すると、普段は目を向けたくない自分と2人っきりになる。
街中のあらゆるものが新鮮に流れ込んできて、思考がシンプルになる。ただ興味のままシャッターを切るのは面白い。
昨年夏ごろ、豊前市にて。