更新を忘れていた モノクロフィルムで撮る『旅の途中』シリーズ
第6回は通天閣(大阪府大阪市浪速区)です。
大阪での最終日。
難波にある一泊2500円のシェアハウスに宿泊したまま、例のごとく予備知識まったくなしでフラフラと通天閣へ向かう。天王寺駅にて下車。すぐ側にある天王寺公園には多くの高齢者が“生活して”おり、そこを抜けるとテレビで見たことのある風景が広がった。
もちろん「現在の通天閣は二代目です」と言われてもピンとこない。
そんな僕でも、資料館で見せられた歴史に夢中になった。
「初代・通天閣」はパリの凱旋門の上にエッフェル塔を乗せたような外観を持っており「ルナパーク」という遊園地と一緒に、1912年(明治45年)に開業。通天閣とルナパークは日本初の旅客用ロープウェイで結ばれていた。
念のために強調しておくと101年も前の話である。
(写真はもちろん、映像もしっかり残っている)
かつての繁栄の中心には「新世界」という名の画期的な都市計画が見えてくる。
1889年に竣工したエッフェル塔のデザインも、本国ではかなり評価が分かれていたと言われているし、今や名物となっている「ビリケン」も海外からの輸入キャラクターだ。当時の日本人は世界に負けまいとあらゆる要素を貪欲に取り入れていたことが伺える。
(初代通天閣は、火事が引き金となり、戦時中の鉄材確保のため解体されてしまう)
※通天閣の展望台からの眺め。(観光地につき様々な勧誘はある)
大好きな谷崎潤一郎の小説『細雪』の中でも、戦前を舞台にしていながら路面バスはもちろん、地下鉄に乗るシーンがある。
「知らない」ものは怖いし、軽んじてしまいがちな面もあるけれど、僕らは先人達の偉業の上に、それを当り前のものとして生活している。
当然、今を生きている僕らにも、後の世代にプラスとなる要素を残していかなければならないわけだけれど……(今の政治は、そうでないモノを残そうとしている気がする)