祖父のこと


もう随分と時間が経ってしまったけれど、今年(2021年)の1月27日早朝に祖父が亡くなった。

作業中の事故で脳に障害を負ってからは、17年もの間施設ぐらし。
コロナになってから1年近く会っていなかった。

祖父にとって一番最初の孫が僕で、小学校入学から一緒に暮らしていたこともあって、本当に可愛がってもらった。家族で唯一尊敬しているのは祖父だ。

それでも怒ると本当に怖くて、小さい頃は怒られまいと嘘をついたり誤魔化そうとして火に油を注いだ記憶がある。あるとき僕は家の中でサッカーボールで遊び窓ガラスを割ってしまった。怒られると恐怖に怯え、自転車で自分から謝りにいくとギリギリ叩かれずに済んだことを思い出す。「ごまかさないこと」「正直でいること」を教えられていたと今になって思う。

僕が中学でサッカーをはじめ、身体も大きくなってから気づいたこと。
祖父から殴られても全然痛くないのである。それにショックを受け(気まず過ぎて)それからは困らせないようにしようという気持ちが強くなった。

急にバイクに興味を持った高校生の僕に、ロスマンズカラーのNS-1を買ってくれたのも祖父。
二十歳で友人と事業の真似事を始めたときに、家族にきちんとお金を残すのがどれだけ大変なことか説教をしてくれたのも祖父(それでもやるのが僕。失敗は財産です)。

祖父が50歳のときに生まれた初孫が自分。
僕はいま独り身で、38歳という現実。

昨年の愛猫タマの死と、この祖父の死によって、恐れずに動こうと決めた。
先祖から繋がれた命、せめて本当の人生を、悔いのないように生きたいものです。

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Photographer

富永 秀和のアバター 富永 秀和 Photographer

1983年福岡生まれ。グラフィックデザイナーから転身した職業フォトグラファー。2013年に中古購入した中判デジタルでその表現力の虜となる。福岡のシェアスタジオで経験を積み2022年に上京。
40歳で総合格闘技(MMA)入門。