花と檸檬

タマを埋葬した11月12日に動物病院から届いたお花がまだ生きている。
その様子は僕の気持ちを体現してくれているかのようで、植物の優しさにホッとする。

あれから自分の中で様々な変化があった。タマの投稿を見たクライアントさんが撮影時に花束をもってきてくださり、生まれて初めて『お花をもらって心が安らぐ』経験をした。もちろん多くの人たちにはそれが当たり前だということは理解していたけれど、これまで自分は、お花は生き物だから切られた状態でもらっても死なせてしまうだけで可哀想だと思ってしまう人間だった。

気持ちが落ち込んだ時は物事の意味を繋げて考えがちだけど、タマは死んでなお、僕に欠けていたこの感覚を教えてくれようとしている、と思う。

時間をかけて深く穴を掘り、土に返るため工夫して埋葬。そのすぐ側に檸檬の木を植えた。
残された猫たちも窓から檸檬の木が見える。

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Photographer

富永 秀和のアバター 富永 秀和 Photographer

1983年福岡生まれ。グラフィックデザイナーから転身した職業フォトグラファー。2013年に中古購入した中判デジタルでその表現力の虜となる。福岡のシェアスタジオで経験を積み2022年に上京。
40歳で総合格闘技(MMA)入門。