軌道修正

8月某日。記事執筆のため狭山市立博物館を訪れたあと、ずっと気になっていた「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」まで足を伸ばしてきました。飯能に訪れたのは約10年ぶり。

車から降りた途端に雨が降り始めるも、傘をさして一通り見て回ることに。

トーベ・ヤンソンは個人的に大切な作家のひとりで、幼少期にBSで放送されていた、パペット・アニメーションのムーミンの世界観が強烈な印象を残しています。僕は小学校4年生くらいまで本を読まない子でしたが、ムーミン童話だけは例外で「小さなトロールと大きな洪水」をお小遣いで買ったのが最初だったのです(小説を読み漁るのは随分後のこと)。

上の写真はムーミン童話に出てくる「水あび小屋」を思わせる建物。後ろに見えるティーポットのような建物には「きのこの家」という名が付いていて、実際に中に入って自由に見学できるのですが、これがもうロマンの塊すぎた。

思ったよりかなり広く迷路のように入り組んでいて、個室という概念はなく、自分が何階に居るのかもわからない。途中で建物の外側を通ったり、通らなかったり。こんな家で育てば家の中で幾多もの遊びを発明し、たくさん怪我をして、たくましく想像力のある子になるだろう。シンプルでモダンな空間も良いけれど、忘れていた『童心のようなもの』が呼び覚まされた感覚。

昨年からちょっと心折られる出来事も多くて、無意識下で精神的に良くない(望んでいない)状態が続いていたのだけれど、この日のトーベ・ヤンソンを皮切りにふと大きな発見があり、冷静に自分を見ることができて、自分の中の軌道修正プログラムが動き始めたのを自覚しています。

40を過ぎると真剣に怒ってくれる人はいなくなるので、自分でその習慣をつけるのが大切。分かってはいても中々難しい。人生はトライアンドエラーなのです。

ちなみに、他にもいくつか建物があり、トーベ・ヤンソン氏の資料も見ることができました。この日の帰りは道路が冠水するほどの大雨になり大渋滞だったのも含めての思い出です。

今月2回目のブログおしまい(月に2回は久しぶり)


関係ないけど、2022年に長崎県美術館で開催された『ムーミンコミックス展』は最高でした。

Profile

富永 秀和のアバター 富永 秀和 Photographer

1983年福岡生まれ。グラフィックデザイナーから転身した職業フォトグラファー。2013年に中古購入した中判デジタルでその表現力の虜となる。福岡のシェアスタジオで経験を積み2022年に上京。
40歳で総合格闘技(MMA)入門。