中判デジタル

MAMIYA 645AFDIII + Leaf Aptus22
 
ずっとフィルムを使い続けてきたのは、フィルムが好きだという理由ではなかった。
そう、すべてはフォーマットの大きさに起因する。

ボロボロのEOS 5Dはキレイに写るけれど、自分好みの画は撮れない。ほとんどの焦点域で違和感が残ってしまう。それは物理的なもので、考えてみると普段使うカメラも、ライカを除けば中判の6×7フォーマットだったことに気づく。

 
 
今年6月に導入したのは2005年に発売された『Leaf Aptus22』。
中判カメラのフィルムバックを外し、代わりにこのデジタルバックを装着。つまりカメラ本体はフィルムカメラと同じものを使用する。当時の定価を見るとあまりの金額に唖然とすること間違いなし。完全に業務用の機械なのだ。
 
8年も前のセンサーだけど、135判フルサイズの2倍の面積(48mm×36mm)に、16bit記録による豊富なデータ量。2200万画素というのも扱いやすい。(ちなみに、現在でも販売されているAptus II-5にも全く同じセンサーが使われている)
 
結論として、デジタルの力は凄まじい。135フルサイズは中判6×4.5に近い写りをするけれど、中判6×4.5に近いこのAptus22は、正に中判6×7のような写りをする。さらに、デジタルバックの世界で「Phase Oneがポジなら、Leafはカラーネガ」と評されている通り、善くも悪くもネガフィルムのような発色。粒子は存在しないのにEOSのようにノッペリしない。ISO25で撮ったデータを見ていると大判4×5フィルムのようでさえある。正直なところ、仕事でフィルムを使う理由はなくなった。
 
ただし、キヤノンやニコンのような「親切設計」とはかけ離れており、簡単キレイとは対局にある機材でもある。ただでさえピントや被写界深度の問題で撮影がシビアになるというのに、ボディ側の性能(旧機種の645AFD IIIを使用)もあってAF精度や速写性に激しく劣る(結局フルマニュアルで撮るはめに…)。背面の大きなタッチパネル液晶は「とても見づらい」上に、表示が遅い。これ1台で……というのは現状難しいだろう。もともとデジタルバックは便利さを求めて造られたものではないしね。
 
 
先日の『色のないポートレイト展』では、MFの120mmを使い、会場内で120組のポートレイトを撮影した。通常は6×7で1人フィルム2本(20枚)撮影するので、ランニングコストが約2,000円(120名で24万円!)かかる計算。仕上げにかかる時間は一緒だが、それ以前のスキャンする膨大な時間さえも省くことができている。それを換算すればもう既に元は取っていると言える。

どうか、3年くらいは壊れませんように。
 
 
 

MAMIYA 645AFDIII + Leaf Aptus22

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Photographer

富永 秀和のアバター 富永 秀和 Photographer

1983年福岡生まれ。グラフィックデザイナーから転身した職業フォトグラファー。2013年に中古購入した中判デジタルでその表現力の虜となる。福岡のシェアスタジオで経験を積み2022年に上京。
40歳で総合格闘技(MMA)入門。