フィルム撮影の悦楽

Portrait
先日の「何も写っていなかった」シノゴ撮影。
まさかそんな悲劇が起こっているなど知る由もなく……
その翌日、僕は同じフィルムホルダーの裏面で、嬉々として写真を撮っていた。

写真は、会社に派遣スタッフとして来てくれている笑顔の素敵な女性。
(そしてブログ掲載もOKしてくれる心の広いお方でもある)

ところが、現像から上がってきたネガは…
●フィルムホルダーがズレて人物の頭が切れている
●そのせいで隙間から感光し上部が白っぽくなっている

さーっと血の気が引いた。
なにしろ先日の1枚は真っ黒で、こちらの1枚も頭が切れ、
顔がほとんど識別できないような、ひどいネガだったのだ。
(あれだけ緊張してじっとしててもらったのに…)

「僕が失敗しても、あなたが目をつぶったとしても、撮るのは一枚だけ」
と約束していたので、デジカメでの試し撮りもしていなかった。

もし、これがフィルムでなければ、単なる失敗で終わっていたかもしれない。
そして4×5インチという大きさでなければ、厳しかったかもしれない。

コントラストを抑えてスキャンし、未露光の上部15%程度を大きくトリミング。Photoshopで丁寧に整えていくと白くハレーションを起こしていた顔のディテールが少しだけ出てきた。(失敗しなければ、右下のセーターのようにしっかり写るハズなのだ)
これは救える!

そうしてできたのがこの写真。
技術的には失敗写真だけど、結果オーライ。
構図も僕が10分くらいかけたものよりずっと良い!(笑)

こういった写真が、必ずしも女性に喜ばれるとは思っていないけれど
自分としては「捉えたかったものが写っている」という点で満足。
心から素敵な笑顔だと思う。

Portrait

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Photographer

富永 秀和のアバター 富永 秀和 Photographer

1983年福岡生まれ。グラフィックデザイナーから転身した職業フォトグラファー。2013年に中古購入した中判デジタルでその表現力の虜となる。福岡のシェアスタジオで経験を積み2022年に上京。
40歳で総合格闘技(MMA)入門。