偏見のライカ購入記

偏見のライカ購入記
 
偏見のライカ購入記

そう、僕はライカなんて大嫌いだった。

勘違いした金持ちが自己満足のために「愛でる」機械という印象。

今でも「ライカ」というメーカーが好きなわけではない。
4年前は、35mmのフィルムを使うメリットなんてないと考えていたし
レンジファインダーなんて、もっての他だと思っていた。
デジタル一眼レフがあるじゃないかと。

デジカメで一通り遊んで熱が冷めると、自分の写真に疑問を抱くようになった。
しっかり細かく写っているだけが写真ではないし、
白トビしていない写真が良い写真でもない。
そんなことはわかっている。
でも……

もっと撮りたいものがあるはずなのに、
あまりにも簡単に「画像」が取得できるデジカメでは
何もかもせっかちになってしまうのだ。
これは使う人間の問題。

* * * * * * *

そんなときに現れたのが中判の二眼レフカメラ。
でも、でも、
大きなカメラは嫌いではないけど、それを持ち歩くのは大嫌いな自分。
しかもピント合わせが大変で、サクサク撮れるとは言いがたい。
 

ライカはそれを変えてくれた。
レンジファインダー機が、ではなく、ライカが変えてくれた。

* * * * * * *

そのころ、僕はだんだんと一眼レフが嫌いになっていた。
ネットで気に入った写真を見つけると、レンジファインダーで撮られた
写真が多いことに気づく。 なるほどこのレンズはこう写るのか!
こんなレンズが沢山あるのなら、自分も試してみたい!
(Minolta AL-Eが家に転がっていたからRF自体は体験済み)

もちろん、ライカなんて不当に高いから論外だ。
ファインダー枠と撮れる範囲がけっこう違うし
レンズとフィルムで写りが決まる、ボディはタダの箱だろうと。

50mm一本勝負だっ! とBESSA R3Aを中古で探したが、
冷泉町にあるゴゴー商会では安いものが見つからずに時間が経つ。
そして不幸なことに、店舗には、ライカが所狭しと並んでいたのだ。

静かで上品なシャッター音、絹のように滑らかな巻き上げ。
そう聞いていたが、触ってみるとそうでもない。
これならEOS 10Dのシャッターの方が静かで品がある。

でも、何度も空シャッターを切っていると、
妙にリズムが良くなることに気づく。巻き上げる手が止まらない。
……こ、このカメラ、いいかもしれない。

* * * * * * *

そんなわけで、M型ライカが僕の手元にやってきたのは、3年程前のこと。
50年以上前のカメラに13万。レンズは別。しかし実用性にはなんら問題がない。
ライカは、自分の望むリズムで写真を撮ることができる道具だ。

ちゃんと写っているかどうかは別として(笑)
思ったタイミングで即シャッターが切れ、歯切れの良い手応えもある。
マニュアルの一眼レフのようにピントの大外しがない。
カメラのせいにする要素は何もない。ここがポイント。
(一度だけ壊れたけど)

高価なカメラが好きなわけではないので、
富士フイルムから発売されるX100には期待している。
(この金銭感覚の麻痺は、まちがいなくライカのせいだ)

もう一度いう。
ライカなんて大嫌いだ(った)。

 

偏見のライカ購入記

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Photographer

富永 秀和のアバター 富永 秀和 Photographer

1983年福岡生まれ。グラフィックデザイナーから転身した職業フォトグラファー。2013年に中古購入した中判デジタルでその表現力の虜となる。福岡のシェアスタジオで経験を積み2022年に上京。
40歳で総合格闘技(MMA)入門。